子どもの咳の症状
- コンコンと乾いた咳
- ゴホンゴホンと痰がからんだような咳
- ケンケンと擦れるような咳
- 咳で顔が赤くなる
- 苦しそうに咳をする
- 喘鳴(ゼイゼイ・ヒューヒュー)がある
- 1週間以上、咳が続いている
上記のような咳がある場合、咳喘息や気管支喘息、細菌・ウイルスによる呼吸器感染症、副鼻腔炎などが疑われます。お早めにご相談ください。
咳の症状を起こす疾患
咳は子どもに多く、ちょっとした刺激でも出やすくなります。咳が出ている場合は、発熱や鼻水など他の症状の有無を確認し、少しでも不安な点がありましたらご相談ください。
風邪
色々なウイルス（稀に細菌）に感染することで、風邪を発症します。一般的に、数日の潜伏期間を経て鼻の症状が現れ、次に咳が出る傾向があります。
喉頭炎(クループ)
オットセイの鳴き声に似たような、ケンケンとのどが擦れるような咳が出ます。1～3歳の発症が多く、呼吸困難を起こすことがあるため、お早めに受診する必要があります。特に、夜間でも咳が強い場合には、救急外来を呼びましょう。
後鼻漏(こうびろう)
鼻水が内側を通り、のどの方へ流れて落ちてしまう状態です。痰がからむようなゴホンゴホンという咳や不快感を伴い、就寝中にいびきや呼吸困難を起こして目が覚めてしまう傾向もあります。
後鼻漏のお子様の場合、鼻水を吸引する治療で症状が落ち着くこともあります。
気管支炎
主にウイルスによる感染が原因で、気管支に炎症が起きてしまう状態です。子どもは大人よりも気管支が狭く、気管支炎でも咳が出やすいです。
初期はコンコンという乾いた咳ですが、段々ゴホンゴホンと痰がからむような咳が出るようになります。
肺炎
細菌やウイルスが肺に感染して発症する疾患です。症状は、原因となる細菌やウイルスによって異なりますが、咳や発熱、呼吸が苦しくなるといった症状がよくみられます。重症化すると入院する必要があります。
咳喘息
ゼイゼイ・ヒューヒューという喘鳴（ぜいめい）が起きず、咳が続く状態です。子供はあまりならないと言われています。
夜中や明け方に咳がひどくなりやすく、悪化すると何度も目覚めてしまい睡眠に支障をきたしてしまいます。また、気管支喘息に移行してしまうことも多いため、咳が続くようでしたら早めに受診してください。
気管支喘息
ゼイゼイ・ヒューヒューという喘鳴を起こし、重症になると呼吸困難になる恐れもあります。夜中や明け方に症状が起きやすく、睡眠に支障をきたす症状も咳喘息と同じです。
市販の薬を安易に使用するのは注意が必要
「咳」は、呼吸器へ入った有害なものや痰を体外へ出すために行う防御反応です。そのため、迅速に治療しなければならない病気が引き金となって起きることもあります。そこで安易に市販薬を飲ませてしまうと、病気を悪化させてしまい、完治するまで時間がかかってしまう恐れがあります。
咳が続く場合は医療機関を受診して原因を調べてから、適切な治療を受けることを推奨します。
季節の変わり目の咳
幼稚園や保育園、学校などは、夏～秋、秋～冬などの季節の変わり目に、季節性の風邪が流行しやすい傾向が強いです。ほんの少しのきっかけで咳が続く場合、季節の変わり目には症状が悪化してしまうのも決して珍しいことではありません。
季節の変わり目に乾いた咳が起こりはじめ、その次に鼻水が出てくると、だんだん痰がからんだような咳へ変わっていきます。
昼間～夕方の時間帯はほとんど症状がみられないのに、「夜中に何度も咳で起きてしまう」「夜中に咳き込み過ぎて吐いてしまう」「朝方にひどい咳が出て眠れない」などの症状がみられることもあります。
特に、犬やオットセイの鳴き声みたいな咳が出ている場合は、呼吸困難を起こす可能性があるため、速やかに当院へご相談ください。
発熱はないが咳が続く場合
夜中のひどい咳で目が覚めてしまう状態でも、昼間にはほとんど症状がないため、受診が遅くなったり、軽い風邪だと勘違いしてしまったりする可能性があるため、夜中～朝方の咳の症状について、具体的に医師へ伝えていただければと思います。
特に熱を伴わない咳の場合は、ウイルス感染が疑われます。ウイルスには抗生物質が効かないため、お悩みの症状を和らげる対症療法を選択します。
対症療法ですが、痰を出やすくする薬や、鼻水を抑える抗アレルギー薬、咳を抑える咳止め薬、空気の通り道である気管支を広げる薬などを処方しております。
もし細菌感染によって発症している場合や、二次感染の恐れがある場合には、抗菌薬を用います。
そしてひどい炎症がある場合には、ステロイドを処方します。
熱がない場合でも、肺炎や百日咳、マイコプラズマ気管支炎などが疑われるため、速やかに受診してください。
咳がある時の自宅での対処法(熱がない)
加湿器やマスクを使って、高い湿度を保ちましょう。
冷たい水を少量ずつ、回数を多めに飲ませてください。同居されているご家族の方は、「禁煙」を徹底してください。
これらの対処法を行っても改善されない場合には、夜間診療所を受診します。
また、ある程度安定した場合でも、翌日には医療機関を必ず受診してください。
子どもの咳に関するQ&A
夜中や朝方になると咳が出やすいのは何故ですか？
睡眠中は副交感神経が優位になって気道が狭くなりやすく、昼間は交感神経が優位になって気管が拡張するためです。
気管や肺の付近で、左右に分かれる気管支はとても繊細な部位です。この気管支がほんのささいな刺激を受けただけでも脳の咳中枢に伝わることで、咳は出ます。
また、寒暖差も咳を引き起こす刺激の一つです。夜、布団に入って身体が温まることで咳が出やすくなりますし、布団にある目に見えないホコリが原因で咳が出ることも考えられます。
明け方には粘度の高い鼻水がのどへ流れ落ちる後鼻漏が起きやすく、これが原因で咳が起きるケースもあります。夜間や朝方はこのような複数の条件が重なりやすいため、咳が出やすくなります。
乳幼児の子どもですが、咳が続いています。受診して治療を受けているのですが改善せず、心配です……。
咳の治療はコツコツと続ける必要があります。当院はお子様の病気や症状を治すだけでなく、ご家族の方が悩みを解消できることにもサポートしております。
病気について分かりやすく、かつ丁寧にお伝えしておりますので、どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。
咳がひどくて嘔吐もみられます。この場合、受診した方がいいですか？
夜中に激しい咳を起こしても昼間は元気に過ごしているケースも多いため、「これって受診してもいいのかな……」と悩んでしまいますよね。
特に元から吐きやすいお子様の場合、咳が出てくると必ず吐いてしまうこともあります。しかし、気管支喘息や百日咳、気管支炎、肺炎、クループ症候群・急性喉頭蓋炎なども考えられるため、受診することをお勧めします。
また、嘔吐が起きると水分の摂取量が減り、全身の状態が悪化してしまう恐れがあります。これらの症状は適切な対症療法で改善できるかもしれないので、まずはご相談ください。
咳が続いていますが熱はありません。この場合、市販の咳止めを飲ませても問題ありませんか？
発熱がなくても咳が続く場合、迅速な治療が必要な病気が潜んでいるかもしれません。市販の咳止め自体、原因となる疾患の治療薬ではないため、悪化させてしまうリスクもあります。また、効果があまり得られないこともあります。勝手に判断せず、ぜひ受診してしっかり適切な治療を受け、原因を医師に見つけてもらうようにしてください。
長期間続く咳の原因となる疾患について知りたいです。
気管支炎や気管支喘息・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎などは、長期間の咳を引き起こす疾患です。また、一度ひいた風邪の後の症状として、咳が長期間続くこともあります。
百日咳やマイコプラズマ肺炎なども咳は現れやすく、その場合は迅速な治療を受けなければなりません。
あまり長く咳が続いている場合は、ごく稀にですが、先天性異常や免疫不全による呼吸器感染症の反復、心臓の異常などが原因で生じていることも考えられます。
咳以外の症状がなく、かつ咳だけが1週間以上続く場合には、一度受診しましょう。「よくある症状だ」と自己判断するのは禁物です。
